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未完成の人間


現在の人間は、未完成の人間です。こういうものを、一人前の人間だと思うのが間違っているのです。
現在の地球も未完成です。皆様の肉体は未完成です。だから病気になるのです。
未完成の地球に、未完成の人間が生きている。現在の文明も、もちろん未完成です。めちゃくちゃな、できそこないの文明です。
文明について詳しく説明しませんが、西洋の文明という思想は、生活だけを考えています。東洋的に文明という文字を理解しますと、人間自身の存在についての深い認識になるはずです。
文という字はあやでありまして、森羅万象の姿が、そのままあやであることになります。それを明らめること、森羅万象の姿を明らめること、仏教的に言いますと、観世音するのです。
この世の中の世音を見ること、そうしますと、本当の人間が分かるのです。未完成の地球に、未完成の人間が生きているのですから、人間が人間自身の思想を信用することが、全く間違っているのです。
以前にも言いましたように、人間は自分が見ていると思っている。見るということだけでも、正しく理解できていません。真っ暗なところに行けば、何もみえません。もし自分が自分の力でみているのなら、真っ暗な部屋でも見えるはずです。
自分の体重が六十キロ、七十キロあると思っている。ところが、体重はないのです。引力に対する抵抗があるだけなのです。引力に対する抵抗が、目方になって現れているだけなのです。その証拠に、ロケットに乗って地球の重力圏から離れてしまえば、人間も鉄の塊も全部浮いているのです。皆様は、テレビで人間が浮いてる光景をご覧になったでしょう。もし本当に人間に体重があるなら、なぜ浮いているのでしょうか。そのように、人間の考え方が、根本から間違っているのです。
未完成の人間は、アウフヘーベンされなければならないのです。
皆様は、アウフヘーベンされなければならない。イエスの復活は、端的に言いますと、人間自身のアウフヘーベンなのです。
現在の人間は未完成の人間であって、一つのテーゼであり、肉的な人間存在です。肉的というのは、肉体的な人間存在を実体としている見方なのです。
肉体的に人間が存在することが罪ではありません。肉体的に人間が存在することを実体とすることが、罪なのです。
キリスト教では、肉という言葉の意味が分からないのです。肉体的に人間が存在することは、あたりまえです。すべての肉に霊を注ぐことを神はしているのです。
従って、霊を注がれたという形で人間の肉体を見れば、肉体そのものが、すでにペンテコステ、即ち聖霊降臨という事件によって、アウフヘーベンされてしまっているのです。
これが、復活の奥義なのです。イエスが十字架につけられた。そして三日目に甦った。甦った時に、彼の体は栄光体であった。
栄光体というのは、アウフヘーベンされた体なのです。肉体がなければアウフヘーベンされません。肉体があるということは、アウフヘーベンされる可能性があることをいうのであって、イエスはすべての人間に対するアンチテーゼなのです。
釈尊はアンチテーゼではありません。彼はすべての人間と同質の人間なのです。イエスは、すべての人間を否定する要素を持っている。私は生ける神の子キリストであるという考え方は、すべての人間を否定する要素を持っていることを意味するのです。
イエスという人をよく勉強しますと、皆様は、自分自身の存在が、実は自分自身ではないことが分かるのです。
テーゼとしての自分が、アンチテーゼとしてのイエスによって、否定されるのです。これを十字架というのです。
自分自身が否定されますから、罪が許されることになるのです。
死ぬべき人間は、未完成の人間なのです。死とはどういうことかと言いますと、肉の思いということなのです。現象を実体だと考える思想が、肉の思いです。これが死なのです。
肉体はありますが、一つの虚体であって、実体ではないのです。新陳代謝をしながら存在しているのです。人間の肉体は実在するのではなくて、流動的な形で存在しているのです。
流動的な形で存在しているのは、実在しているのではなくて、ただ流れているということです。肉体に血液が流れているように、肉体そのものが流れているのです。これを、新約聖書ヨハネによる第一の手紙では、イエスは水によってきたといっているのです。水ばかりではなく、水と血によってこられたといっています。これが、人間の肉体が流れていることの、聖書的な表現になります。
そういうわけでありまして、現象は実体ではありません。これを色即是空という言い方で、般若心経が裏づけしているのです。
現在の地球が未完成だといいましたが、地球も又アウフヘーベンされなければならない運命にあるのです。
新天新地という言葉が聖書にありますが、これが完成される地球のことをいっているのです。
イエスの復活というのは、地球と人間の揚棄です。アウフヘーベンです。結論的に言いますと、こういうことになるのです。
 

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