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本能性

 

人間は生まれてくる前に、過去生があったのです。過去生があったとどうして言えるのかということです。赤ちゃんは現世に生まれて、だいたい二十四時間以内にお母さんのお乳を飲みます。
赤ちゃんはお乳の味を知っているのです。もし味を知らなければ、お母さんのお乳に対して本能的な魅力を感じることはないはずなのです。生物が飲んだり食べるのは、本能的な魅力を感じるからなのです。その本能性はどこからきているのか。誰が赤ちゃんに本能性を教えたのかということです。
味覚とか視覚はちょっとはっきりしないかもしれませんが、本能的に一番魅力を感じるのは、男女の問題です。男女の問題は誰にも教えられていないのです。学校とか、友達どうしで色々と教えられることはあります。しかし、教えられなくても、男女の本性は生まれながらにして持っているのです。
男が女を愛する気持ち、女が男に愛されたいという気持ちは本能性であって、生まれる前の過去の命がなかったら、人間の霊魂の本質が、形造られる場所がないのです。
性の問題と食の問題が、最も大きい本能なのです。本能とは生まれる前からの引き続きなのです。
人間の場合はたいしたことがないと言う人がいるかもしれませんが、例えばクモの子が巣を造ることを考えて下さい。小さなクモの子が生まれて半年もしますと、自分の体の何百倍もあるすばらしい精巧な巣を造るのです。
クモの巣というのは、人間の建築工学の角度から言っても、非常に優秀な科学性を持っているのです。そのような知識を、クモの子はどこで習ってきたのでしょうか。クモだけではありません。すべての昆虫、獣、鳥類にも言えます。
この世に生きている虫類、生き物は、すばらしい先天性、本能性を持っているのです。ヘビは雪の深い時には、掘る穴の位置が違うというのです。豪雪時には、穴を高い所に造るといいます。そのように、動物の習性は全部先天性です。
私達が花を見てきれいだと思うこと、食べておいしいと思うことは、どういうことでしょうか。万人が、甘いものは甘いと感じます。おいしいものはおいしいと思います。だから、レストランの経営が成り立つのです。もし、一人ひとり全部味覚が違っていたら、レストランの経営はできないのです。
現在の人間の生活は、本能によって成り立っています。目の働き、耳の働き、鼻の働き、すべて五官の本能性は、生まれる前に植えられていたものなのです。これが、人間生活の原則になっているのです。これは、人の魂に後生があること、死んだ後に魂の継続性があることの証明になるのです。
人間は今、肉体を持っています。肉体を持っていることは、カルマなのです。肉体を持っているのが人間だと考えていますが、これが現代文明の大欠点です。現代文明は、現世に肉体的に生きていることだけしか考えないのです。
前生の問題も、後生の問題も、カルマで生きている間に、自分の本質、本性をどのように見極めるかによって、変わってくるのです。
肉体で生きていることだけしか考えないというのは、現代文明の大欠点です。これがユダヤ主義の考えです。現世に生きている間は、そういう理屈は通用しますが、現世を去ってからどうなるかです。
生まれてきたといいますが、生まれてきた以上どこかからきたのです。生まれる前に、自分の本質があって生まれてきたのです。
人間の本来性、本能性を、自性といいます。本来の自性は、生まれる前にあったのです。それが現在人間として生きている。
おいしいとか、美しいとか、楽しいとかいう「しい」というのは、人間が現世で、魂という本質的な機能によって、この世を経験しているしかたをいうのです。人間の命の本質は、神の御霊(みたま)なのです。人間の命をたまといいます。たまが肉体的に経験している状態を、たましいというのです。
たましいが、美しい、おいしいことを知っているのです。これは過去にうえられた本能性を、現世で経験しているのです。
本能性を人の脳細胞に神がインプットしているのです。コンピューターの原理を考えれば分かるのです。インプットされた能力に従って、コンピューターが働くのです。
人間の現世の生活は、神にインプットされた魂が、肉体的に生活しているのです。現世で生活できるのは、過去の命があったからなのです。過去の命で今生きているのです。
過去の命を勉強しようとしないで、今生きている自分が幸せになろうとする。これが大きな間違いです。
神は人間が生まれる前に、神自身の本体を人間の霊魂に鋳込んでいるのです。これが理性と良心です。例えば直感力とか推理判断する力、分析総合する力、記憶する力は、恐ろしい力なのです。
人の命は、今の命ではないのです。生まれる前に与えられていた命の本質、本性が、肉体的な形で今経験させられているのです。
自性というのは、生まれる前の人間の本性です。カルマを持って生きている人間ではない、自分の本体です。
自性が現世に生きている。これを現世ではっきり発見するのです。自性を発見するとは、神を発見すると同じ意味なのです。
人間の本質、本性は、神の本質、本性と同じものです。これを見つけるのが、真心です。真心とは、人間の常識とは違うのです。人間の命の本質を、本質どおりにつかまえることが、真心なのです。これが現代の人間に分からなくなっている。真心で考えることができなくなっている。文明が人間を堕落させてしまったからです。
今の人間は、本当のことが信じられなくなっている。自分の頭で神や仏を造って、それを信じることはできます。これは宗教がしていることです。自分の頭で造った神や仏を、自分の頭で信じているだけのことなのです。これはマスターベーションなのです。
生まれる前には、肉体はなかったのです。肉体がない時の自分の本性を、肉体をもっている自分が悟るのです。これを自性を見るというのです。
これができるようになると、命の本質が分かるのです。真心で物を見るということが、どういうことかが分かるのです。
人間が今生活している内容、うれしい、おいしい、美しい、すばらしい、恋しいという経験が生活の実質です。おいしいものを食べてなぜおいしいと思うかが分かりますと、死なない命がだんだん分かってくるのです。
宗教で考えている神ではない、自分と共にいる神が分かるのです。

 

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