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生活している人間と生きている魂


皆様は現在、生活していらっしゃいます。ところが、生活していることと、生きているということの、二つがあるのです。この区別がついていないのです。生活しているのは人間です。選挙権があるとか、私有財産があるとかを問題にするのです。こんなものはあってもいいし、なくてもいいのです。
生きるとは何か。命の実体をはっきり自分で認識して、それを生きこなすのです。これをしたのが、ナザレのイエスです。これは死なない人間です。
死ぬに決まっている人間は、実は本当に生きてはいないのです。生きているような格好はありますけれど、それは格好だけであって、ただ生活しているのです。
これは人のことではありません。皆様ご自身の実感ですから、率直に、大胆に、極めて素朴に、虚心坦懐に考えて頂きたいのです。
人間として生きていることは、文明人としては当たり前です。ところが人間として生きていることは、内容的に言いますと、生きているのではなくて、生活しているのです。
例えば、基本的人権を問題にしたり、選挙権を問題にしたりしているのは、生活をしているのであって、生きているのではありません。その証拠に命が分からないのです。本当に生きているのでしたら、命の内容が本当に、正確に認識できているはずです。ところが、命とは何かと聞いても、正確に答えられません。これは正しく生きていないことを意味しているのです。
宗教は掃いて捨てるほどたくさんありますけれど、命を本当に教えてくれる宗教は、日本にはありません。命の実質、実体を教えてくれる宗教は、一つもないのです。宗教では命が分かりません。だからだめだと言わざるをえないのです。
イエスは誠の命を、現実において、実際に見せたのです。私は生きている。命のパンであると、はっきり言いました。イエスは生きていたのです。生活していたのではありません。
釈尊は一切空と言っています。人間が生きていること自体が、全く虚しいとはっきり言っているのです。現在の仏教界で、本当に空とはっきり言える人は、日本には一人もいないでしょう。口先で空を言っても、やっぱり人間として生きているのです。生きている人間を相手にしているのです。
私は皆様の魂に呼びかけたいのです。固有名詞の人間に話しかけているのではありません。固有名詞の人間をやめる気持ちになって頂かなければ、宗教ではない般若心経と聖書は分かりません。
般若心経は五蘊皆空を説いています。仏教を否定しています。例えばば無無明、亦無無明尽、乃至無老死、亦無老死尽、無苦集滅道と言っています。これは十二因縁、四諦八正道という唯識論の中思思想を、はっきり否定しているのです。大乗仏教の中心思想を否定しているのです。これが般若心経の実体です。
新約聖書では、イエスは宗教を痛撃しているのです。否定するくらいではあません。当時のユダヤ教のラビ、律法学者を、徹底的に攻撃したのです。そのために、宗教家に殺されたのです。ですから、キリスト教という宗教が、キリストを信じているというのは、おかしな話です。全くおかしいのです。警察が殺人強盗を祭っているようなものです。
宗教はこの世に生きている人間を相手にしています。これは営業です。この世に生きている人間から、お金を集めること、勢力を増大することを、目的にしています。
問題は、皆様の魂の目が開くかどうかです。人間としての皆様はどうでもいいのです。霊魂としての皆様が納得できるかどうか。皆様が本当の命を知りたいと思われるかどうか、これだけを問題にしたいのです。
日本の国体には、驚くべきものがありますが、これを日本人は全然知らないのです。皆様は日本の国体がすばらしいということは、ご存知でしょう。なぜすばらしいかが分かっていないのです。
憲法第一条に、国民統合のシンボル、日本国民の象徴という言葉がありますが、これがどういう意味か、分かっていないのです。これは生活している人間では、分かりません。魂の問題です。般若蔭椎蜜多と、大いに関係がある間題です。
皆様が現世に生きているのは此岸です。こちら側の岸です。ところが、純粋に生きているのは、彼岸です。本当に生きている彼岸が分かれば、皆様に死なない命がはっきり分かるのです。日本の国体の本当の原理が分かるのです。天皇制とはどういうことなのかが、分かるのです。こういうことは宗教では分かりません。こういうことを教えてくれる宗教は、日本にはないのです。
死なない命、魂の実体をお話ししたいのです。これは、皆様が現世に生きている常識的な自分から離れて、本当の自分自身の魂の実質に、目覚めたいと本気にお考えになっている方のための話なのです。
皆様には五官が働いています。砂糖をなめると甘いと思われます。マグロの刺身を食べると、特に大トロや中トロを食べると、口の中でとろけて、何とも言えないおいしい味がします。これが死なない命の味です。皆様は日常生活の中で、死なない命、永遠の生命を具体的に経験しているのです。このことをよく考えて頂きたいのです。
食は欲ではなくて、本能です。本能というのは、先天的なもの、天質というべきものです。先天的な天質は彼岸です。性も先天性です。ところが現在生活している人間は、本当の性が分からないのです。性欲しか分かりません。欲望的な性しか分からない。欲望ではない本当の性とはどういうものか。これが全く分かっていない。文明はそれほど間違った人生を、皆様に押しつけているのです。
生活している人間と、生きている魂とは、大変な遠いがあります。私たちは、欲望の奴隷になる必要はありません。常識の奴隷になる必要もありません。霊魂は常識でひきずり回すものではないのです。
現代人は文明を信じているために、命がさっぱり分かっていません。皆様は現在、五官というすばらしい機能を、現実に持っておいでになります。五官の本質に目覚めることができさえすれば、死なない命を捉えることは、十分にできるのです。
 

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