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魂のバランスシート


皆様は生きておいでになるのですが、肉体が動いているので生きていると思えるのです。食事ができること、目が見えること、耳が聞こえること、肉体的な機能が働いていますので、生きていると思っていらっしゃるのです。ところが、死ぬという問題は、肉体の問題ではなくて、精神の問題なのです。
肉体で生きるということは、限度がありまして、何百年も生きられるのではあません。せいぜい、八十年か、九十年です。百年も生きれば、相当に長生きだということになるのです。ところが精神は開発しますと、無限に成長する可能性を持っているのです。
肉体はこの世に生きているだけです。この世に生きていることを、どれだけ発達させてみても、肉体が死ななくなる訳ではない。ただこの世に生きているのを、長くするだけです。
文明は肉体で生きていることしか考えません。精神で生きることを、できるだけ考えないようにさせているのです。肉体的に生きていることだけを豊かにしようという考え方が、現代文明になって現われているのです。
現代文明は科学を開発することによって、人間が幸福になると考えています。これは肉体的な問題だけのことです。世界に平和を、平和を世界にと言いますけれど、いくら平和が実現しても、人間はやはり死んでいくのです。
こういう文明を、皆様は無条件で飲み込まされているのです。そういう文明に従わなければならないように、しつけられているのです。これは非常に悪い癖です。この悪い癖から逃げ出そうという気持ちがない限り、皆様は命を見つけることはできません。
人間文明を、般若心経では五蘊と言っています。五蘊から出たものが、文化文明です。五蘊とは、人間が見たり開いたりしている感覚です。又、感覚に基づく意識です。人間が目で見ていることと、心に感じていることの二つを、五蘊と言っているのです。これは人間の生活感覚のことです。
人間の生活感覚は、生きている間は通用しますが、この世を去ってしまえば、一切通用しないのです。
人間は死ぬことが分かっていながら、死を勉強しないのです。どうせ死なねばならないから、死ぬのはしかたがないと思っている。しかたがないと思ってしまうから、分からないのです。
人間が人間を教育するとそうなってしまうのです。教育するとは何か。犬を教育する場合は、犬よりも頭がいいものが、犬を教育しなければいけない。馬の場合もそうです。動物を教育する場合は、その動物よりも高い知識や高い精神を持っているものが、動物を訓練するのです。犬が犬を教育することはできませんし、馬が馬を教育することもできません。ところが現代の教育は、人間が人間を教育しているのです。これをすれば、だめになるに決まっているのです。だから、人間の霊魂が盲になっているのです。
教育が発達すればするほど、学校教育が進めば進むほど、人間はだんだんバカになるのです。精神が分からなくなっているのです。命が分からなくなってしまっているのです。こういう愚かな時代に、皆様は生きておいでになるのですから、よほど深く考えないといけないのです。
命の実体を知りたいという切実な気持ちをお持ちになるのでなかったら、皆様の人生は根本から失敗することになります。人生に失敗するということは、生まれてこなかつた方が良かったということです。
生まれてきたために、皆様はとんでもない大失敗をしたのです。何十年間もこの世に生きていながら、何のために生きているのか、命とは何かが全く分からない。お先真っ暗のままで、この世を去ってしまわなければならないことになります。
これは人間が教育してきたからです。皆様は学校で受けた教育を、真正面に信じこんでしまっている。学校で受けた教育は、嘘ではありませんが、皆様の命については、全く役に立たないのです。ただ生活の役に立つだけです。月給がとれるだけのことなのです。その結果死んでしまうのです。
今から三百年程前に、フランスを中心にして起きたルネッサンスが、根本から間違っていたのです。人間の本質を考えないで、人間の生活だけを考えた。人間の精神を考えないで、肉体だけを考える生活をしたのです。これがルネッサンスでありまして、これが人間全体を殺してしまう結果になったのです。
ルネッサンスの結果がどうなったかと言いますと、人間の霊魂が老衰してしまった。二十歳の若い人でも、全く老衰した心理状熊たなっているのです。これが現代人なのです。若い人間ほど老衰しているのです。これが文明の奇怪な現象です。これを現代人は不思議だと思わずに、むしろ文明が進歩したと思っているのです。
これがユダヤ文明とうものであって、ユダヤ人がノーベル賞という褒美を出しているのです。ノーベルはダイナマイトを発明したユダヤ人でした。ユダヤ人が勝手に世界一と言われる賞を決めているのです。
そういう制度が全世界を支配しているのです。これに対して文句を言う人は、一人もいないのです。日本の学者は、ノーベル賞をもらうことを、最高の喜びとしているのです。
第二次世界大戦以前の日本では、修身教育をやかましく言ったのです。忠信愛国と言いましたが、この考えが、間違っていたのです。
どう間遠っているかと言いますと、日本人は本当の天皇制を知らなかったのです。日本人が考えている天皇制しか知りませんでした。
ところが、本当の天皇制は、日本人が考えているようなものではないのです。これは天皇制の歴史を考えてみれば分かるのです。
現代人は人間が生きているという立場からしか、物事が考えられない人間になってしまっている。そこで般若心経が言うことが、難しいということになるのです。
五蘊皆空がなぜ難しく思えるのか。皆様が生活のことしか考えられない人間になってしまっているからです。魂のことが全く盲になってしまっている。だから、目明きの言うことが、どうもおかしいと思えるのです。
教育制度は、現世に生きること、現世で生活することしか教えないのです。ところが、皆様の霊魂は、この世を去ってからでも、引き続き存在しなければならないものなのです。これが人間の精神です。精神のことを勉強しないで、生活のことしか勉強していないのが、現代人です。
仏教、キリストをいくら勉強してもだめです。宗教は現在生きている人間の幸福だけを考えているのです。現在生きている人間の幸福は、現在人間生活をしている人の立場で考えた幸福であって、
死んでから天国へ行けるとか、死んでから極楽へ生けるという考え方は、現世に生きている人間の気持ちで、そう考えているだけです。これが間違っているのです。
教育はあってもいいでしょう。現世に生きていくために、例えば、銀行とはどういう仕事をする所か、手形はどういういうものか、商売とは何か、保険とはどういうものかを教えてくれます。これは現世の生活のために必要なことです。学校や社会は、生活の勉強は教えてくれますが、霊魂のことは全然教えてくれません。
貸借対照表を霊魂で言いますと、魂のバランスシートになるのです。何をして生きてきたのか、何を考えて生きていたかということが、生涯を通してバランスされることが、必ずあるに決まっているのです。これは死ぬことではありません。死んだぐらいでは、バランスされません。精算されないのです。
地球の運命が終ってから、地球上に人間が住む時代が終ってから、初めて人間歴史の根本的な洗い直しが行われるのです。これが神の大審判です。人間社会が数千年間、地球上に存在したことに対して、根本的な洗い直しが行なわれることになるのです。これが人間全体のバランスシート、貸借対照表です。
これは極めて正当な、正確なものであって、これを行なう人格を神というのです。この神が、皆様の中にいるのです。皆様方の脳細胞の中に、神が入っているのです。皆様の脳細胞は、神がインプットしたものです。
百四十億と言われる脳細胞は、神によってインプットされたものです。皆様は生まれる前に、神の所にいました。神と一緒に住んでいたから、皆様方は神をよく知っているのです。
生まれてから、現世の生活ばかりをしていたために、それが全然分からなくなってしまった。天然自然の人間の霊魂を、全く無視してしまった。それが全く分からない人間になってしまったのです。これが現代文明です。
皆様がまずお考えにならなければいけないことは、現在の生活のあり方が、土台から間違っているということです。生活のことだけしか考えないで、精神のこと、命のことを、全く考えていないのです。般若心経は、五蘊皆空、色即是空という言い方で、その間違いを指摘しているのです。
現在の日本人は、般若心経のことは知っていますけれど、それをまじめに勉強しようとしていません。宝の山に入りながら、宝を足で踏みつけているのです。そういうバカなことをしているのです。
皆様の脳細胞と一緒に、神がいるのです。神の実物がいるのです。神と一緒に皆様は生きているのですから、それを知らないで通ると思ったら、大間違いです。



 

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