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風の声

 

現在、私達が生きていることは、実は、そのまま救いになっているのです。
浄土真宗にこういう言葉があります。この身このまま仏であるというのです。東本願寺がこういう言い方をしています。即身是仏ということです。
ところが、西本願寺の方は、この身がこのまま仏である。しかしその身がそのまま仏ではないというのです。これなのです。
人間は、自分の考えが間違っているといわれますと、かっとするものです。ことに、宗教観念につきまして、あなたの宗教が間違っているといわれますと、かっとするものです。親の悪口を言われたことよりも、信じている宗教の悪口を言われる方が、もっと腹が立つのです。これは、人間の美徳の一つです。美徳であるから困るのです。
実は、皆様が現在生きておいでになることは、新約時代に、キリスト紀元に生きておいでになるのですから、生きていらっしゃることが本当に分かりさえすれば、皆様の命はそのままとこしえの命であることがお分かりになるのです。
キリストの十字架によって、世界が新しくされた。人間の運命が全く新しくされた。結論的に言えばこういうことになるのですが、キリストの十字架によって人間の運命が新しくされたということは、なかなか分かるものではありません。容易に分かるものではありません。
よほど純真に、素直に聖書を受けとろうという覚悟がなければ、なかなかキリストの十字架は受けとれないのです。
一人の人がすべての人にかわって死んだのだから、すべての人が死んだと聖書はいっているのです。新約聖書コリント人への第二の手紙五章十四節に言っています。そのように、すべての人は、すでに死んでしまっているのです。
ところが、皆様は、まだ自分は生きていると思っていらっしゃいます。だから、自分の宗教は間違っているといわれると、腹が立つのです。
皆様は、実は死んでいらっしゃるのですから、自分の宗教というものが、あるべき道理がないのです。自分の人生があるべき道理がないのです。
今、私が話していることは、皆様にとって荒療治すぎることかもしれません。ちょっと手厳しすぎるかもしれません。しかし、聖書の言葉によれば、肉の人間はすでに死んでいるのです。イエスが肉にて殺されたことは、皆様が全部肉にて殺されたことを意味するのです。イエスが霊にて生かされたことは、皆様が霊にて生かされたことを意味するのです。
イエスと共に死に、イエスと共に生きる。これが人間の絶対的な運命なのです。結論的に言いますと、こうなるのです。
日本人は、聖書を外国の宗教の教典だと思っていますから、どうしても受けとり方が間違っているのです。キリスト教を信じている人は、キリスト教の教義によって間違っている。キリスト教を信じていない人は、日本人の常識によって、聖書を間違えてしまっている。
例えば、内村鑑三氏のように、郵便切手になる人でも、間違っているのです。そういうことであって、本当に困ったことになっているのです。
聖書が正しく受けとめられていないということは、日本人にとって、非常に不幸なことなのです。この不幸を何とかして解消したいのです。例え一人の人にでも分かって頂きたいのです。私は聖書の言葉が命であること、イエスの名前、イエスの御名みな、神の御名が、皆様の命そのものであることをお話ししたいのです。
ご自分の人生観や生活状態に満足している人はたくさんいるでしょう。日本人に、そういう人はたくさんいます。自分の世界観、価値観で満足している人はたくさんいます。ところが、その満足していることが間違っているのです。満足しているから悪いのです。
本当に、皆様が死んでいるかどうかです。死んでいなければ、新しく生れることはできません。心をかえて新にせよと、パウロは言っています。イエスは、新しく生れなければ神の国へ入れない。水と霊とによって新しく生れなければ、神の国へ入れないといっているのです。
風の声を聞けといっているのです。風の声というのが、御霊の声です。これを本当に聞いて頂きたい。皆様が、心耳を開いて、風の声を聞いて頂きたいのです。
現在、本当の聖書が理解されていないことは、日本人にとって非常に悲しいことです。人間は法蔵といわれているものです。法蔵というものは、仏説阿弥陀経にありますように、阿弥陀如来が悟りを開くまでの名前です。法蔵という人は、自分自身の中に、無量寿と無量光を見たのです。自分自身の中に、阿弥陀如来があることを見たのです。これが阿弥陀如来の正体なのです。
皆様が、本当に静かに新約聖書をごらんになれば、阿弥陀如来が見た命よりも、もっとすばらしいものが見えるのです。極楽浄土よりも、もっとすばらしい神の国が見えるのです。どうぞ、自分の命をかけて、聖書を本当に見るというお気持ちを持って頂きたいと思います。
日本には、今、本当の命がないのです。宗教はありますが、命がないのです。
 

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