死とは何か

死とは肉体的なことを言うのではありません。もちろん肉体の心臓が止ることに関係はあります。だいたい人間の死は、一つの世界の問題なのです。現世が一つの世界です。
この世を去ることになりますと、いわゆる他界するのです。他界するとは、現世に生きていた人間の意識が、現世ではない条件の所へ入っていくことなのです。どんな世界へ入っていくか、その原理的な事だけを言いますと、今、人間は、意識の世界に生きています。これは分りよく言えば、思いの世界にいるのです。
生きているのは、思いなのです。意識なのです。現世では、人間は、肉体的に存在するという意識で生きているのです。これを般若心経で言いますと、五蘊になるのです。五蘊の世界に人間は住んでいるのです。
五蘊というのは何かといいますと、人間が現世に生れてきた時の業（ごう）が、人間の五蘊に化けているのです。肉体的な状態で、人間はこの世へ生れてきたのです。肉体的に存在する人間の世界へ生れてきたのです。肉体的に生きるという条件に、放りこまれたのです。
この状態を、魂というのです。魂とは、ギリシャ語でプシュケーといいまして、現実的に人間が生きている状態をさすのです。プシュケーという状態を押しつけられて、地上へ生れてきたのです。だから、肉の思いで生きているのは当然なのです。これを仏教では無明といっているのです。
無明とは肉の思いのことです。これが人間の業なのです。この世へ、肉の思いを持って生れざるをえないような絶対条件を、神に押しつけられて、地上へ生れてきたのです。
だいたいこの宇宙には、地球にあるような物質は、存在する必要がないのです。太陽系宇宙には、火星とか水星、金星という地球によく似た星がありますけれど、地球からずっと離れた、土星とか木星になりますと、ガス体のようなものになるのです。
太陽系以外の外宇宙になりますと、ほとんど全部がガス体と考えてもいいようです。物質現象は、地球周辺のごくわずかなものなのです。しかも地球は物質があるだけではなくて、生命体がそのまま繁茂しているのです。地球それ自体が、生物なのです。地球は生きているのです。
こういう世界へ、人間は放りこまれたのです。なぜ放りこまれたかといいますと、命の実体を弁えるため、宇宙生命の本質は何であるかを弁えるためなのです。宇宙生命の本質は、現在人の心臓が動いているという事実なのです。これを弁えるためなのです。
私達は赤い花や青い花を見ますが、赤い花とか青い花は、周波数の違いなのです。周波数の値が、形になったり、色になったりしているのです。周波数を、人間は目で見ているのです。それを人間は、物質だと思っているのです。
人間が肉体的に生きていることは、徹頭徹尾周波数の働きを肉体的に捉えていることなのです。その実体は何かといいますと、地球という存在全体が周波数のかたまりであって、地球という物質があるのではないのです。人間の肉体があるのではないのです。
すべての物質は、瞬間、瞬間弁証法的に流れているのです。すべての物理的現象は、全部流動的にしか存在しない。これが弁証法の原理です。つまり、一切空です。何もないのです。弁証法的に流動しているという事がらがあるだけなのです。
ところが、人間は、肉体が存在するという気持ちで生きているのです。これを肉の思いというのです。
肉の思いの実体を死というのです。地球がある。自分の肉体があるという考え方が迷いです。迷っている人間の心理状態を端的に形容すれば、死となるのです。その気持ちを持ったままでこの世を去りますと、霊の世界へ入っていくことになります。
実は、この宇宙には物質現象は存在していないのです。弁証法的原理しか存在しないのです。弁証法的原理が霊なのです。霊なる地球につながり、本当の原理をつかまえない状態でこの世を去りますと、人間の意識が宇宙の実体に調和しないことになるのです。そこで、霊魂の裁きが必然的に発生するのです。
なぜ地球が存在するか、なぜ物理現象が地球にあるのかという説明がいるのですが、要するに、常識や知識で考えているのが肉の思いであって、肉の思いによる記憶のままでこの世を去ってしまいますと、その魂は、果たすべき責任、義務を果たさないままでこの世を去ることになります。そうすると、大変なことになるのです。これが死後の世界なのです。